前世紀シデンゲリオン,  市電馬鹿話

前世紀シデンゲリオン/サブパイロット登場

20世紀末、札幌市は謎の侵略者の攻撃により、瓦礫の荒野と化し、すべての都市機能は地下空間に設けられた第二札幌市に移し替えられた。地上には、かつてここにあった美しい街の姿をとどめるものは何もなかった。ただ、市営電車の線路を除いて….
その中で、札幌市交通資料館に展示されていた市電車両は、敵の波動を浴びて次々と高武装公共交通車両「シデンゲリオン」に姿を変えていった。

「これがシデンゲリオンですか、狸小路長官」
「そう、キミの乗る機体、シデンゲリオン初号機だよ、中島君」
「随分簡素な操縦席ですね。これはなんでしょう?」
「ロールサイン。方向幕とも言うが、それで行き先を表示したんだよ」
「『円山公園行』と書いてあります」
「懐かしいな。市内西部にあった自然公園だ。春になると、市民が総出でジンギスカンをしたものだ」
「ジンギスカンをする?放牧と侵略ですか」
「今の子供達は、ジンギスカンも知らないのか。羊肉のバーベキューだよ」
「おいしそうですね。なぜ今はやらないのでしょう」
「第二札幌市のある地下空間は、煙の出る焼肉やゴミ焼却は禁止だからね」
「なんとか換気できないんですか」
「残念ながら密閉空間では難しい。キミは映画で、宇宙船や潜水艦の中で焼き肉をするシーンを見たことがないだろう。同じ理由さ」

「話はきかせてもらったわ。ジンギスカンも知らない男に、シデンゲリオンに乗る資格はないわね」
「キミは?外人さん?」
「こう見えても、生粋の札幌っ子よ。クラーク博士と一緒に来道して農業指導にあたった、農場主のアンドリュー・コーウェンの子孫よ」
「おお、紹介しよう、シデンゲリオンのサブ・パイロットのコーウェン君だ」
「はじめまして、中島公君。私の名前は、オードリー・コーウェンよ」

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